ジャズ喫茶やカフェ店内に市販の音楽CDを流すことは、著作権侵害行為!!
お金を払ってCDを買ったのに?」芸能人の音楽を店内BGMとして使用することは、権利の侵害行為なのか!?。
カフェでミルクティーを飲む。店内には気の利いたBGMが流れている。
ありふれたこの光景、カフェのBGMの音源が市販の音楽CDである場合、著作権侵害の可能性があります。
なぜだと思う方もいるだろう!
店内BGMとして芸能人の音楽を使うことは著作権侵害となるには理由があります。
CDを買って、そのCDをJASRACや権利者に許可なく店内BGMに流すことは、権利侵害行為です。
CDに収録されている楽曲は、作詞家や作曲家の著作物であり、作詞家や作曲家あるいは所属事務所から著作権の譲渡を受けたレーベルに著作権が帰属しています。
CDに収録されている音楽については、「演奏権」(著作権法第22条)という権利が規定されています。
公衆に楽曲を聴かせるために楽曲を演奏したりCDを再生する権利は著作権者に帰属しているので、権利者に無断で、店内のBGMとして使用することは、権利の侵害行為なのです。
そのため、著作権者の許可なく不特定多数の人に音楽を聴かせる方法でCDを再生することは、著作権者の演奏権を侵害する行為となります。
「お金を払ってCDを買ったのに?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、「お金を払ってCDを買う行為」については、「個人が自宅でCD鑑賞をすること」を対象にしており、「公衆に」聴かせることを目的としていない」のです。
買ったCDだからといって誰にでも聴かせてもいいことにしてしまえば、誰かひとりが1枚のCDを買ってあちこちで再生して聞かせることによって、多くの人がそのCDを買わずに音楽を鑑賞できてしまうことになってしまいます。
CDの売上げは大きく落ち込み、音楽家は新しい音楽を制作するお金を集められなくなります。
「うちのお店ではBGMとして音楽を流しているだけで、別に音楽を聴かせてお金をとっているわけじゃない。営利目的で音楽を流していないのに著作権侵害なのか?」
この答えは、
著作権法第38条第1項が、次のように定めています。
「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。」
(著作権法第38条第1項より)
この条文を読むと、
「営利目的じゃないなら自由に音楽を流していいんじゃないか!」と思われるかもしれません。
しかし、「営利を目的」というワードには、著作物のCD販売などの直接的な営利に限定して解釈されるものではなく、間接的な営利に結びつく効果を目的とする利用行為も含むものと解されています。
つまり、デパートでのBGMやスーパーでのBGMなど営利性のある場での利用を広く含むのです。
そのため、カフェでのBGMも、カフェが営利事業である以上「営利を目的」としたものとなってしまうのです。
そのため現在では、原則に戻り、カフェなどの飲食店でCDをBGMとして流す場合であっても著作権侵害の問題が発生することとなっています。
- 著作権侵害にならないように音楽CDを流すには?
著作権侵害にならないようにするには、著作権者の許諾を書面により得ることが必要です。
もっとも作詞・作曲者が著作権者とは限りません(レーベルや芸能事務所が権利者であることが多い)し、どのように著作権者に連絡すれば良いか分からないでしょう。
多くの楽曲についてJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)という団体が著作権者から著作権の管理を委託されて楽曲使用許諾事務を行っているので、JASRACで管理されている楽曲についてはJASRACと使用契約を結ぶことで合法的に音楽の利用が可能となります。
ただし、JASRAC以外の委託先もあり、ケースバイケースで権利がどこにあるのか、自分自身で確認して、必要な手続きをとるようにしましょう。